2007/04/22

UNUSUAL SUSPECTS

80年代シカゴを舞台にしたハウス黎明期のドキュメンタリー映画、
「THE UNUSUAL SUSPECTS」公開初日に早速観て来ました。



平たく言ってしまえば、
ハウス黎明期を表から裏から支えた人たちのインタビュー集。
内容がマニアック過ぎるから、
誰彼構わず薦められる映画ではないですね。

ハウス関連の書籍を一通り読破しているボクでも、
知っている人、知っている曲はほんの一部。
(それだけ広く深い世界とも言えるけれど)

映像作品として観るとチープかつ荒削りで、
ストーリー性が皆無な為か中盤以降は思いっきりダレる。

よほどのツワモノorヲタクでなければ
楽しんで鑑賞する事は出来ないと思います。

とはいえ、

映画として受け取ろうとするとかなり退屈であっても、
インタビューと音源の羅列にメッセージを絡める、
というシンプルな映像の作り方は、
ある意味ハウスのマナー(サンプリング、アンチ・メジャー、D.I.Y)
に則ったものと解釈出来るし、
挿入される曲は歴史的にも重要なクラシックスばかりだし、
何よりオリジネイターからのメッセージは真摯で貴重なものです。
(映画が終わったら監督のチップEが出てきてトークショーになったしね)


3年前に公開された[MAESTRO]でのインタビューでは、
(コチラはNYのパラダイス・ガラージの話)

「パラダイス・ガラージは天国だった。」
「ラリー・レバンは凄いDJだった。」
「あれ以上のクラブは二度と出来ない。」

などなど過去の話に縛られているだけだったのに対し、

コチラの方に出てくる人達は過去から現在、未来へのビジョンを
明確に持っている事に非常に好感が持てました。

ナックルズやロン・ハーディが死んでもハウスは生き残る、という事。
シカゴやNYで廃れたとしてもロンドンやイビザ、東京がある、という事。

イビツでガサツで荒削りで、
それでいて扇情的かつ官能的なこの音楽は、
何があっても生き残る意思を持っている、
雑草のような文化だという事。


最後にチップEが出口に立って観客を見送ってくれる。
一人一人と握手をして「アリガトー!」と微笑んでくれる。
いち文化を築き上げるという偉業を成し遂げたオリジネイターと、
彼から見れば僻地の遊び人でしかないボクらとの間に、
垣根なんて全くないんだ、と教えて貰ったような気がしました。