2009/04/24

リライト・マイ・ファイア

自分の店を潰してから大工に入門するまでの間、バイク便の仕事をしていました。
およそ6年間、その後も繋ぎ仕事としてチョコチョコと世話になっていたけど、
時代の波についていけずに去年の暮れに倒産。

そこの社長がまた癖のあるキャラでして、
一言で表すと「ヤクザ映画に感化されたジャイアン」といった性格。
口は悪いわガラも悪いわバイク乗せりゃキチガイみたいに飛ばすわで、
なかなかどうして困ったオッサンなんですが、
親分肌で面倒見もよく、ソウル好きで遊び人、
当時からソウルバーを開きたい、なんてヨタ話で盛り上がり、
同じ江戸っ子同士って事で気の合う人でした。

その社長、会社を畳んでから1ヶ月ほどしてから連絡があり近況を聞いてみると、
「あぁ!?JRAに預金してたカネおろしてんだよ。」
「先週3万おろしたら今週は2万預けるハメになっちまった。」
などとホザく始末。どうやら本当に競馬とパチンコで食ってたようです。
たしか小学生の息子がいるはずなんだけど。。

当の本人もさすがにそりゃマズいだろう、と思ったのか、
今度は求人広告でみつけたバイク便の会社に潜り込んだらしいんですが、
上記のような性格が災いしてソコの社長とうまくいかないらしい。

リョ「だいたいねー、社長は今さら雇われに戻れるタマじゃないんスよね。」
長「だよなー。っんとソコの社長ブッ飛ばしてやりてぇわ。まぁ一ヵ月は辛抱するわ。」
リョ「社長が言うと冗談に聞こえないって!けど何かしら商売やりましょうよ~。」

という話から3日後。また電話がかかってきた。

長「おう!アタマきて辞めちまったよ!」

しゃ、社長wwww自重汁wwww
3日しか経ってねぇじゃねーかヨ!
まぁ十分予測の範疇だけど。

長「んでよー!ソウルバー開きてぇからオマエちょっと池袋まで来いよ!」
リョ「はいなっ!」

最近「店開きたいんだけど」というメールの問い合わせを受けてるうちに、
相談主の計画がどこまで本気か読めるようになってきました。
この社長の場合は多分まだヨタ話の範疇を超えていないだろうけど、
猪猛突進の性格からして熱くなったらスゲェ行動力を発揮しちゃうタイプなんで、
今から旨い事言ってけしかけてやるウヒヒ。


長「カネはなんとか集めっからよー。」
リョ「どんぐらいスか?」
長「いやわがんね。」
リョ「・・・・・・。じゃ、店の規模はどうスかね?」
長「一人か二人で切り盛りできるスタンドバーだ。」

ほほう。この社長にしちゃ現実的だ。
いきなりディスコ開くとか言いだしかねないもんなー。

リョ「なら10坪以下っすね。バーテンは雇います?」
長「人件費かけたくねぇからオレが立つわ。」

い!?
ガラ悪過ぎじゃね?

長「あ!おめぇ今怪しいって思ったろ!」
長「馬鹿野郎これでもスナックのオバちゃんにはホストばりにモテんだぞ。」


おいおいおい。
ソウルバーっつーか韓流居酒屋かそりゃ?

まぁ、よくよく話を聞くと、
行き場のなくなった年配の遊び人が集まれる場を創りたい、
ってのは本心なようで、それなりの志はあると見ました。

人材を紹介すりゃいいのか、
モデルになりそうな店に連れて行けばいいのか、
はたまたこの社長の遊ぶフィールドにオレが乗り込んでいくか。
夢や妄想から計画へステップアップさせる為に
ボクがヴィジョンを示してやらなきゃならないようです。

なんにせよ、
こういうオッサンがクスブってる姿はみたくねぇよ。
その導火線にどうやって火をつけるか。

長「でもやっぱ店開くからにゃダセェ事ぁやりたくねぇよな!」
長「ベテランの遊び人の心意気ってのをオメェに見せてやんよ。」

長「で、店の名前は[SOUL TRAIN]ってのはどうかな?」



いやダセェよ!
そのまんまじゃねぇかヨ!

2009/04/21

偉大なるロックンロール詐欺

世の中には数多くの「プランナー」「プロデューサー」という肩書きを持つ人達がいます。
なかでもボクがリスペクトする人物といえば、
20世紀ロック史上希代のペテン師として名高いマルコム・マクラーレン。
名前からピンとくる方は少ないかと思いますが、
80年代のロンドン社会を痛快に罵倒したセックス・ピストルズの黒幕です。
ピストルズのドキュメンタリー映画[The Great Rock 'n' Roll Swindle]は傑作ですよ。
バンドメンバーが怒って作り直した[No Future]はまだ観てないけど。

今日はそんな敬愛するペテン師に一歩近づけるかもしれないお話。

マルチ勧誘のメールに混じって数件は入ってくるボクの仕事への問い合わせメール。
宣伝コンテンツも無ければHPすら作っていない状況なのに(←だいぶ焦ってます)、
それでも興味を持ってくれる方もいるんです。

「近い将来ロックバーを作りたいんだけど。」

ほほー。面白そうじゃん?
そりゃロックは専門外だけど「音楽系酒場」って括りで考えれば、
どんなに不景気になっても絶対に絶やしちゃいけない文化だよね。
クラブもライブハウスもバタバタ潰れてる現在で、
そんな店やろうとする事自体がロックじゃないですかい。


これは丁寧にレスしなければ、って事で考えてたら、
書いてるうちにだんだん面白くなってきてしまい、
立地条件や物件探しからデザインのアイデア、工事費用の概算まで延々と長文レス。
だいたいいつもの日記3日分くらい。

こりゃ自分で読んでて疲れるわ。引くかなぁ?ただのヲタク講釈だもんな。

と思いきや意外とノッてくれたようで、
相談してくれた方からロックバーを開こうとする経緯を聞かせて貰い、
社会人として、バンドマンとしての経歴が相当なレベルだと思えてきた。
場所はロッカーの聖地である新宿~高円寺の中央線沿線。
広さは10坪、客席数15くらいを想定。

これは面白いかも!
・・・と、ボクの方は既に営業モードからかけ離れてしまい、
ノリノリで妄そ・・・いや脳内プランニング。

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ロック系という事でインテリアのイメージはかなり絞られてきますが、
一番オーソドックスなのは50'sテイストのオールドアメリカンスタイルでしょうね。
壁と天井ぜんぶ真っ黒に塗って、床は白黒の市松模様、ポイントに赤。
レコードのジャケットを随所に貼り付けていけば「いかにも」なロックバーになるかと思います。
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過去に2.3度くらいしか行った事ないけど「ロックのバー」ってぜんぶこんなイメージだった。
開店当時はこれで十分アバンギャルドだったのかもしれないけど、
今から同じテイストで作ったところでボク等より若い世代には受けないだろうね。

そもそもさ、「いかにも普遍的」なインテリアじゃ、それはロックじゃないよね。

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そこで一つ、話の余興として提案させて頂きたいのですが、
HIPHOPのテイスト(あくまでもインテリアのみ)を取り入れる事は如何でしょう?
HIPHOP系アーティストのPVによくある「コンクリート」「金属」を多用した無骨な内装。
「スレート波板」と言われるコンクリートに似た表面を持つ屋根材がありまして、
http://www.joyfulhonda.com/homecenter/k-shizai/slate/
これを壁材として転用し、店内随所にステンレスの金網でパーテーションを作り、
カウンター甲板にはエイジング塗装を施した鉄板を貼ります。
http://www.hekiga.com/ageing/B-Eseies.html#Anchor_BS
照明にはステージ用スポットライト。無駄に大きい物を使うのが洒落が効いて面白いかと思います。
http://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.asp?Item=977%5ESS802C%5E%5E
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エミネムだか誰だかのPVをチラ観した時に
「刑務所っぽい内装のバー」が脳裏に強く残ってて、
そういうの作れたら面白いなーって常々思ってたんですよ。
もちろんコレ、ボクの主観的解釈でしかないんだけどね。

けどこのアイデアもソコソコ好感触♪
いやもうね、考える事そのものが楽しくってしょうがないスよ。
久しぶりにCADおこしてCGパースまで作りたくなってきたんだけど、

ここでアタマの回転が失速。
せっかく開いたチャクラがまた閉じちゃう。

なぜならボクは、

正直に言って、

ロ ッ ク を 知 ら な い か ら (爆)


最初に話したセックス・ピストルズはサイドストーリーまで好んでたけど、
それ以外だとイギー・ポップ、日本人ならブランキー・ジェット・シティ。
他は全然知らない。ロクにロックを聴いた事がない。広すぎてわからない。
あとはヨハネ・クラウザーⅡ世くらいか。

当然、クライアントの好むロックのジャンルはチンプンカンプン。

これはマズい。ハッタリがバレるww
そりゃ聴かなくても作れるけどさ、知ってなくちゃ創れないのよ。
プランナー/デザイナーとして致命的欠点だわいな。


さあどうしよう。
クライアントからはナカナカ気にいって貰えてるようだし、
未定な予定とはいえ、この仕事欲しい。
つーか、既に仕事忘れて楽しんでるところもあるけど。


現状では「ロックバー」「中央線沿線」「10坪」がキーワード。
これでどういうインテリアプランを出そうか。
これでどうやって人が集まる店にしようか。
みんなだったらどんな店にしたらいいと思う?


The Great Rock 'n' Roll Swindle!!


どうせなら、こんな店に世の中荒らしてもらいたいよね。

2009/04/16

マイ・パワースポット

180オーバーの図体とは裏腹に内向的でイビツな性格を持つボクは、
暗くて狭い所が非常に落ち着くというゴキブリのような習性を持っていて、
週に一度は秋葉原のジャンクショップをウロウロし、
用途の分からない電子部品やガラクタに囲まれて電磁波浴で癒されています。
緑の多い公園や神社仏閣より居心地良く感じちゃうので相当な重症ですね。

暗くて狭くて自分の世界に浸っていられるマイ・パワースポットと言えば漫画喫茶。
フツーの女子が岩盤浴とかしちゃう感覚でリフレッシュしにいきます。
積極的に時間の無駄遣いをするダメな自分に酔いしれつつ、
マンガの世界に没頭した後の脳味噌スッキリ感がたまらなく気持ちいいんです。

昨日も「そろそろデトックスしなきゃ!」という訳のわからん動機で
毒抜きつーか毒の補充に行ってきました。
近所の店からチョット足を伸ばして蒲田のチェーン店っぽいマン喫に入ったんですが、
なんか今まで行った店とは空気が違う。

稼業柄ハコの空気を肌で感じ取る事に関しては絶対の自信を持っているんですボク。
店に入った瞬間にそこで働く人や利用する人の雰囲気を嗅ぎ取る事が出来るんですが、

ココはヤバい。

ドイツもコイツも弛緩したアホ面さらして店内を徘徊しているのは
どこの店でも同じなんですが、
蒲田のソコはなんか負のオーラが強すぎるんですよね。

視点が定まってない10代くらいの女の子、
独り言をブツブツつぶやきながらキンタマをボリボリ掻くサラリーマン、
オープンスペースのパソコンで必死に仕事を検索する日雇い労働者、
負のオーラどころか強烈な異臭を放つキモヲタ、

やっべー。。
とんでもない所に潜り込んじまった。
そういえば蒲田といえば「ネットカフェ難民」という言葉が
最初に生まれたワープアの本場でしたよね。

まぁ仕方ない。
個室に入ってしまえば奴等とも目をあわせないで済むだろう、
って事で「STEEL BALL RUN」と「蒼天航路」を両手に抱えて部屋に逃げ込む。

ふぅぅ~。
この扉を閉めた時の安堵感といったらもうタマりません。
テロテロとマンガを読み始めて空想の世界に没入しようと思ったとたん、


「とりゃーーー!!!」


え?
え?
えええ?

隣の部屋から妙な掛け声がするんです。。
舌っ足らずで鼻にかかる若い女の子の声、いわゆるアニメ声で。

頼むから音読は辞めてくれよ。


「ダイヤモンドダストぉぉ!!」


・・・・・しかも聖闘士星矢かよ。
ああ、あれか、「腐女子」ってやつだろ?
二枚目のホモ漫画が大好きな連中。

しかもハァハァ息が荒い。が、もちろん色っぽくない。
きっと強敵に囲まれて絶体絶命のピンチなんだろうな。

困るよなぁ~。こういう奴。初めてだけど。
おかげで全然没頭出来ないんだよね。
コッチは孫策が死んじゃったあたりなんだけどさ。

「ゆ、許せん!」

いやいやいや。
ゆるせねぇのはオメェの方だよ。
我慢できなくなってコンコンコンと抗議を込めてノック。
すると「ハッ!」と息を呑む音が聞こえて、
なにやらブツブツブツつぶやき出した。

ドン!
ドン!
ドン!ドン!ドン!ドン!
ドドドドドドドドドドド!!!!!!


ひぃぃぃ!
これはもしや「ペガサス流星拳」か!?
あまりのおぞましさに圧倒されていると、
腐女子部屋を挟んで向こうの部屋から「おい!うるせーぞ!」という男の怒声。

すると今度は向こう側の壁に向かってドンドンドンドン!

ここまでくると他の客も我慢しきれなくなって、

「やめろバカ!」
「コッチは寝てんだぞ!」
「帰れ!死ねよこのヒキニート!」
「豚女!」

とまぁ罵声のオンパレード。罵声までもが2chっぽいのにはチョット受けたw
ボクのノックが引き金になってこんな大騒ぎになっちゃったようですね。

あ~あ、もうやってらんねぇヨ、って事で精算済ませようとカウンターに行くと、
こんな騒ぎにも関わらず何も対処しようとしない店員二人。

「あれ何とかなんないの?」と文句を言ったら、

「ああ、いつもの事ですから。」なんてシレっと言われちゃいました・・・


なんだかなぁ。。
この無気力さ加減が一番ゲンナリしましたよ。
個室の方では相変わらず罵り合いが続いてたんですが、

ガラっ!ドン!と勢いよく扉が開く音がしたと思いきや、
恐らく当事者らしい女の子が涙目になってコッチに走ってきて、
そのまま店の外に出てっちゃった。。

リョ「精算してないじゃん?」
店「いいんです。常連ですから。」

漫画に没頭し過ぎてアタマおかしくなってる女なんぞ同情の余地はないんですが、
いわゆるヲタ女にありがちなダセェ格好にも関わらず、
意外と美形の顔立ちをしていたのが余計に痛々しい。

キチンとオサレすれば十中八九の男がコロっといきそうなルックスなのに、
どこで道を踏み外して非行ならぬ奇行に走り、
何が悲しくてこんな場末のマン喫でヒンシュク買ってるんだろう?

いやぁドっと疲れたわ。
世の中の不条理を凝縮して味わってしまいましたね。
もう蒲田のマン喫には二度といかねぇ。アキバの方が100倍マシだわ。


料金高くてもいいからさ、
壁が厚くてリラックスできるセレブリティなマンガ喫茶とかないですかね?
あとお暇でしたらお勧めなマンガ教えて下さいな。最近のには疎いんで。

2009/04/13

人脈乞食は辞められない

近頃は日記の更新も夜遊びもペースが落ちてしまい、
「アイツ最近ナニやってんだ?」と思われがちなリョータです。

「派遣村や救世軍の炊き出しで並んでる」とか、
「横浜寿町や浅草山谷で日雇い労働してる」とか、
「富士の樹海に自分探しの旅に出た」とか、

散 々 な 噂 を た て ら れ て い ま す が 、

ちゃんと生きてますよ。乞食はしてませんよ。
住む所も変わってませんよー。


さてさて今日も当面の課題であるボクの仕事のお話です。
開店休業状態なのは相変わらず。
まだまだ準備しながら営業、という段階ですがね。

とりあえずドメインとレンタルサーバは決めました。

www.innerworks.jp
info@innerworks.jp

一番分かり易い[.com]が使えなかったのが残念だけど、
独自のドメイン持つだけで、
「おおお。なんかビジネスしてるゥ~」ってな雰囲気を醸し出せますね。
ま、雰囲気だけなんでつが。HPとかはまだまだ先の話です。。

準備で一つコマを進めたら次は人脈。
まだまだ営業以前の人脈作りが必要なんですよね。

昔から「人脈乞食」と言われるくらいに人の繋がりに飢えてます。
7割はクラブ/DJの夜遊び関連。
3割はインテリア、デザイン、建築関連。

まだ足りない。足りないっつーか、まだまだ開拓できる。
今日はね、その未開拓分野に首を突っ込んできました。

ソイツぁ飲食業界っすよ。

そもそもボクは「大工やDJの経験を活かす為に云々」ではなく、
「飲食店の立ち上げを仕事とする為に大工やDJやってる」んですから、
飲食業界に顔効かせるのは当然っちゃ当然です。
自分でも忘れがちなプライオリティだけど、後付けのコジ付けじゃ御座いません。

そこで飲食業を営んでいる人や開業を目指す人の集まるコミュに登録し、
その中で交流会があるって事で顔売りがてら話を聞きにいきました。

「いつか自分の店もちたいなぁ~」という人から、
開業計画まっしぐらの人や既に数店舗運営してる人、
本職の建築士の先生に至るまで色んな話を聞けました。

そこで最も強く感じた事は、
景気が良かろうと悪かろうと、外食業界がボロクソだろうと、
良い仕事をする店はキチンと儲かるって事。

雇われの身分なら「不景気」のせいにして自分を甘やかす事も出来るし、
最近の失業者や求職者に至ってはベタベタに甘えまくってるように思えるけど、
自営の場合そういう甘えが命取りになるので、真剣味があるんでしょうね。
雇われずに働く生き方を選んだ人達の凄みをヒシヒシと感じてきました。

「あるんでしょうね~♪」
なんて他人事みたいに言ってる場合じゃないんですがボクも。

技術的な勉強が重要な職人の身分にありながらも、
「やっぱ仕事はウデよりコネだな!」と改めて感じましたね。
たとえカネにならない話でも、モチベーションが上がるしヴィジョンが生まれる。
生まれたヴィジョンを提案すれば仕事を生み出せる。

だから人脈乞食は辞められませんね。